屋外広告物の安全点検義務と管理者について
このページでは、屋外広告物の安全点検義務、安全点検報告書および管理者について解説しています。
広島県の場合は、次の市に関しては、独自に市の条例で屋外広告物を規制しており、それ以外の地域は県の条例に従うことになります。
- 広島市(政令指定都市)
- 福山市(中核市)
- 呉市(中核市)
- 尾道市(景観行政団体)
- 廿日市市(景観行政団体)
ここで解説しているのは、ほぼどの地域でも同様の内容となっていますが、広島県の条例に基づいた内容になっていますのでご了承ください。
屋外広告物の老朽化や管理が適切でないことによる事故が全国で多発したことにより、安全性の向上のため平成31年10月より規制が強化されました。
強化された内容としては次のとおりです。
- 管理義務の明確化
- 管理者による安全点検の実施義務化
- 点検結果報告の義務化
管理義務の明確化
従前の規定では、屋外広告物の管理義務を有する者が誰であるかは、明確になっていませんでした。
そのことから、事故が発生してしまったときの責任の所在があいまいになり、その対策を取ることも容易ではなくなってしまいます。
そこで、屋外広告物の表示者、設置者、管理者、所有者及び占有者に対して、屋外広告物に関する補修、除却その他必要な管理を怠らないようにし、良好な状態に保持することが義務図けられました。
新たな規制に該当する広告物
すべての屋外広告物について管理が強化されるわけではなく、次のいずれかの条件を満たす屋外広告物が規制強化の対象になります。
- 広告物自体の高さが4メートルを超えるもの
- 表示面積が10メートルを超えるもの
具体的な例としては、地上広告、屋上広告、壁面広告、突出広告すべて該当し、次のようなものです。

なお、次のものは上記の条件を満たしていたとしても記載から除かれます。
- 直塗りのもの
- シートを直接貼り付けるもの
- 光を投影して表示するもの
管理者による安全点検の実施義務化
管理者の設置、資格について
広告物の表示者又は掲出物件の設置者は、広告物又は掲出物件自体の高さが4メートルを超えるもの又は表示面積が10平方メートルを超えるものについては、管理者を設置しなければなりません。
管理者は誰でもなれるわけではなく、次のいずれかの資格が必要です。
- 屋外広告士
- 一級、二級、三級建築士
- 第1種、第2種電気工事士
- 第1種、第2種、第3種電気主任技術者
- (公益社団法人)日本サイン協会が実施する点検技能講習終了者
- (一般社団法人)日本屋外広告業団体連合会が実施する点検技能講習終了者
安全点検の実施
広告物の所有者または占有者は管理者に広告物を点検させなければなりません。
点検項目は次のとおりです。
- 基礎部のぐらつき、裂傷等
- 支持部・取り付け部の変形、腐食、損傷等
- ボルト・ビス等のサビ、緩み、欠落等
- 広告板面・文字等の破損、変形、変色、欠落及び枠組み部材の破損等
- 照明塔電気設備の取り付け状態、異常等
点検の時期も規定されています。
- 屋外広告物の設置日から5年を経過した時点
- 5年経過した後は3年毎
- 許可満了の日の3か月前から許可満了の日の前日までの間に実施
点検結果報告の義務化
点検結果の報告は、「屋外広告物安全点検報告書」に点検を実施した広告物の写真を添付し、点検方法、補修等の方法を記入しなければなりません。
報告の時期は、許可期間の更新申請のときで、添付書類として提出することになります。
報告書により、広告物の異常が明らかな場合は、回収、除去等必要な措置を命じられる場合があります。
屋外広告物安全点検報告書の様式は次のようなものです。

